あけましておめでとうございます。
皆様は、最近、厳しいとか、危機という言葉に聞き飽きていると思います。私も、大体、正月早々、厳しいとか、危機とか言うのを毎年のように、聞かされて、辟易としていました。しかし、あえて私も今年は、危機的な年だと言わせてもらいます。
なぜ、私が、あえて危機的な年だというのかと申しますと、今年の危機は、今までと明らかに違うからです。
第一に違うのは、価値観が変わったという事です。もっとハッキリ言うと、今までの人達と、これからの人達は、信じるものが違うと言う事です。2007年問題に象徴されることですが、まず、働く人達の道徳観が変わったという事です。父や母、先輩達は、何かを信じて一生懸命頑張ってきました。頑張れば、必ず報われるとか。家族のためとか。会社をよくするとか。しかし、これからの人達は、何を信じて良いのか解らない、そう言う世代です。また、我々がそうしてしまいました。醒めているのです。
やりたいことをやりなさいと言っても、やりたいことが解らないと言う世代なのです。
最近、アメリカでは、老人があまり大切にされないそうです。大切にされないと言うよりも邪魔者扱いされているそうです。彼等が、金を持っていない。金を生み出せないからです。基本的に金しか信じられないのです。しかし、これはアメリカだけの問題でしょうか。
今、定年を迎え。これから、老年期を迎えようとしている人達には、大変切実な問題です。もし、インフレになり金の価値が下がった時、働けない者が、どの様に惨めな状況に追い込まれるか。金を生み出せない者は、捨てられていくのです。既にその兆候は、始まっているのです。
第二の違いは、このたびの危機は、自らが招いた危機だと言う事です。冒頭申し上げましたように、厳しいのは今に始まったことではありません。日本人は、戦争、オイルショック、円高と、これまで幾たびも困難な状況を乗り越えてきました。問題は、状況の厳しさにあるわけではありません。その状況を一致団結して乗り越えていこうという姿勢にあるのです。我々の内側にある危機なのです。
私が子供の頃は、本当に、金も、物も、何もなかった。テレビゲームどころか、テレビもなければ、冷蔵庫も、洗濯機もない。それこそ、その日に食べる物にすら困っていました。創業、間もない頃。住む家すらないから、住み込みで働きにきたものです。ウチだけでなく、日本全体が、本当に困っていた。だから、皆、助け合い、協力した生きてきました。今は、物が溢れていて、一見何も困っていない。厳しい厳しいとは言いながら、日本は恵まれているのです。
しかし、考えてみてください。上辺では、物が溢れて見えますが、何もないと思っていた子供の頃よりも、食糧自給率はずっと低いのです。40年前、カロリーベースで80%ちかくあった食糧自給率が、今は、40%を切っています。ただ、帳尻だけがあっているに過ぎないのです。金があるから食料を調達できるのであり、金がなくなれば、食料は調達できなくなります。創業の頃の危機というのは、目に見えた危機だったのです。今の危機は、目に見えない危機なのです。もし、海外から、食料が輸入できなくなったら、我々は、限られた資源を奪い合うことになるでしょう。その時、我々は、一致団結して危機に対処できるでしょうか?そんなこと関係ないと言われればそれまでです。笑い事ではすまされないのです。つまり、これが、今、直面している危機の本性なのです。
これから来る危機というのは、自分達の内側にあるのです。怠慢。驕り。油断。そして、身勝手。
父や母は、何を護るべきかを知っていました。国家、家族、会社、友、信用、礼節、誇り。今、我々は、何を護るべきか。言葉では、愛だ、自由だと言うけれど、
その守るべき者を見失ってしまった。それが危機の本質なのです。
以前、ウォール街という映画の中で、主人公が苦境に立ったとき、先輩がこう忠告しました。街の外れに、底なしの淵がある。その淵を覗いた者は、ほとんどの者が戻ってこれなかった。ただ、自分を取り戻した者だけを除いては・・・。自分を取り戻した者だけが助かるんだ。
原油の高騰。株の下落。どれをとっても深刻な問題です。しかし、やるべき事はわかっているはずです。世の中が混乱した時は、基本に帰れです。克己復礼。己に克ちて礼に帰れ。やるべき事をやればいいのです。決めた事をやればいいのです。行動あるのみです。問題は我々の方です。
我々は、現実を直視する勇気を持たなければなれません。自分達で危機を打開しないかぎり、誰も助けてはくれないのです。自分がしっかりしなければ、誰も助けてくれないことを、あの焼け跡から立ち上がった時の日本人は自覚していました。何せ、世界中が敵だったんですから。今は、どうか。事ここに至っても誰かが助けにきてくれるのではと
期待してはいないでしょうか。
自分達の手で、状況を打開する以外ないのです。自らを自らが助ける以外にないのです。今こそ、日本人は、結束し、団結して自分達の未来を切り開く時のです。
今年は、子年です。始まりの年とするか、終わりの年とするか、それは、我々が決める事なのです。
改めて、あけましておめでとうございます。
2008 新春の会
H20.1.25 至 ホテルセンチュリー静岡
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