明けましておめでとうございます。

 昨年は、一つの時代が終わり。新しい時代が始まろうとしていることを、痛感させられた年だったと思います。
石油価格の高騰にはじまり、夏にはリーマンショックが、そして、暮れには、ビックスリー、トヨタショックが起こりましたいずれも、世界経済を根底から覆してしまうほどの大事件です。しかも、変動は始まりであって、終わりではありません。これから始まるのです。

 何が、一つの時代が終わったと私に思わせたのか。オイルショックをはじめこれまでもいろんな事件がありました。しかし、昨年は、今まで違うと感じました。それは、根本にあるのが、相互不信だということです。信頼関係の崩壊です。人と人が、会社と会社が、国と国が信頼できなくなった。それが、世界経済を蝕んでいるのだと思います。つまり、人間と人間との根本的な繋がりが失われようとしているのです。仲間意識がなくなろうとしているだと思います。これは、道徳の問題であり。生き方の問題なのです。だから、一つの時代が終わろうとしているのだと感じるのです。そして、新たな信頼関係が築けなければ、明日はないと私は、考える次第です。
 信じあえる仲間がいないというのは本当に怖いことです。それは、私達の今の生き方に対すると警鐘でもあると、私は、思います。今年は、性根を入れ直そうと思います。

 何が本当の危機か。それは、皮肉な事ですが、我々が恵まれすぎていることだと思います。私達は恵まれている、それを当たり前だと考えている。そして、私達が恵まれた生活を送れるのは、私達を支えてくれている、多くの人々のお陰なのだと言う事を忘れている。それが私達の不幸の源です。自分が子供の頃は、会社も創業期で、何かと大変でした。世の中もまだまだ戦争の傷跡を残し、あちこちに焼け跡が残っていました。物も食糧も不足し、何かと代用品を使い、食糧難も経験しました。でも、その中で多くの人達に助けられてきたという実感がありました。部屋も大部屋で、大勢の人達と寝起きを伴にし、文字通り同じ釜の飯を食べてきたのです。
今は、同じ釜の飯という言葉すら失われてしまいました。日本人、皆、貧しかった。でも助け合ってきました。

 戦後、半世紀が経ち、豊かになったというのに、我々の生活や仕事を支えている多くの人達の存在。
そして、感謝する気持ちをいつの間にか忘れつつある。食事も、仕事もあるのが当たり前。困ったら、国が助けてくれる。考え違いしている内に、ありがとうという言葉やおはようございます。こんにちはという挨拶すら忘れてしまった。それが本当の危機です。会長は、よく静岡歩兵三十四連隊の話をします。静岡連隊は、日本最強の精鋭だった。その為に、最も激戦地に派兵され、多くの犠牲者を出したと聞かされました。この事をどう思うかにはいろんな異論があると思います。しかし、今日、我々がこうして豊かな生活を享受できるのも、彼等の貴い犠牲があった事実は、誰にも、否定できないと思います。しかし、我々は、彼等の存在すら忘れ去ろうとしている。
 私達は、今、物質的には恵まれているのです。私が子供の頃、本当に何もなかった。それこそ金もなければ、食べる物や住むところすらなかった。しかし、少なくとも、皆、助け合って生きてきました。人情もあった。人を思いやるゆとりもあった。誇りもありました。お陰様、お互い様と声を掛け合って生きてきました。何もなかったけれど、不思議と明日に対する不安はありませんでした。信じあえたのです。ところが今は、誰も、何も、信じられなくなってきた。人情なんてカケラもない。義理も忘れた。それが、今の危機の正体だと思うのです。我々は、今日の我々の生活は、あたかも自分達だけで築き上げたように思い。思い上がっている。我々が失いつつあるのは、お陰様、お互い様という気持ちです。本当の危機は、自分達の思い上がりにあるのだと思いました。誰も護ろうとしない家族や会社、国は、護りきれません。会社や家族、国は、私達を休みなく護っていてくれます。今の日本人は、家族や会社、国に護られながら、家族や会社国を護ろうとしていない。それが危機なのです。

 我々は、今一度、初心、原点に帰る必要があると考えます。 我々は豊かなのです。半世紀以上も太平の世を謳歌しているなどという事は、歴史的に見ても稀です。我々は幸せなのです。その幸せの基にあるのは、お客様であり、家族であり、友であり、郷土、静岡であり、会社であり、日本という国なのです。そのお客様や家族や会社、国に対する感謝の気持ちを忘れてしまったら、明日はないのと私は気がつきました。エゴにこそ危機の基があるのです。

 どんな気持ちで、あの静岡連隊の人達は、戦場に行き。そして、何のために、誰のために死んでいったのか。我々は、それを決して忘れてはならないのだと私は思います。そして、彼等の志を未来へと引き継いでいくのが、我々の責務だと思います。子供達に、感謝する気持ちを伝えていかなければなりません。子供達が日本人であること、静岡人であることに誇りを持てるようにしなければならないのです。日本人は、あの焼け跡から不死鳥のように甦ったのです。あの頃から見れば我々は、恵まれすぎるほど、恵まれているのです。

 末永い信頼の絆をいかに築くかそれが鍵だと私は思います。真っ直ぐに、かつ、誠実に人を信じる事、私には、それ以外に状況を打開すべき道はないと信じます。今の危機は、我々の心が招いた危機なのです。信じ合う心、助け合いの精神を取り戻さない限り、日本に明日はないと思います。助け合う心を取り戻せば、必ず、生き残れます。三日飼えば、犬でも恩を忘れないと、私は、父に、教えられました。その父の教えも忘れつつあると反省しました。だからこそ、心を込めて、私は、申し上げたい。今、新年の挨拶を私がここで言えるのも、皆さまのお陰です。
 本当にありがとうございました。
 これからも末永くおつきあいの程、お願い申し上げます。

 改めて、新年、明けましておめでとうございます。


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